酒井監督就任インタビュー

酒井監督就任インタビュー

2023年度は大東文化大学創立100周年、そしてラグビー部創部60周年。この節目が重なる年に
監督に就任した酒井さん(29期)に今年度の意気込みを語ってもらいました。

-この度は監督就任おめでとうございます。

監督:ありがとうございます。

-監督就任の経緯を聞かせてください。

監督:2021年から2年間付属の大東一高の指導をしていたのですが、その中で大学関係者とお話しする機会がありお声がけしていただきました。

―以前にも大東大のコーチをされた経験がありますね。

監督:はい、2011年に当時監督の青木忍さん(23期)からお声がけしていただきました。ちょうどW杯イヤーで、当時のヘッドコーチの方が日本代表のスタッフと兼務だったこともあり、W杯前の期間を埋めるアシスタントヘッドコーチという肩書きが僕のコーチ業のスタートです。

―その頃のお話しを聞かせて下さい。

監督:僕はラグビーから8年も離れていたので、教えるのは難しいと思い最初はお断りしました。ところが青木さんから「今の学生には、ラグビーのことよりノリが必要なんだよ」との口説き文句に乗せられて、まずは遠くから練習を見学させていただきました。そうしたら急に部員全員を集めて「今年コーチになる酒井さんだ!」といきなり紹介されたので、その年現役を引退したばかりでタイムリーだった事もあり「どうも大畑大介です」とめちゃくちゃ寒い挨拶をしてしまいました(苦笑)。もちろん失笑どころか微妙な空気が流れましたが、僕を覗き込む部員が何人もいました。よくわからないのですが、それを見てなぜか「俺なら勝てる!」と根拠のない自信が芽生えました(笑)。実際にリーグ開幕戦で勝利をするのですが、それまで全く言うことを聞かなかった北海道出身のアウトローなエースが、額を切って頭にテーピングでグルグルに巻きながらトライを決めて、試合終了後には泣きながら抱きつきに来た瞬間が忘れられず、今だにコーチ業を辞められなくなりました、、、(苦笑)
その頃の選手には、W杯メンバーに選ばれた茂野海人(トヨタヴェルブリッツ)や、7人制日本代表になったテビタツポウ(近鉄ライナーズ)がいました。

―その後は中央大学でもコーチをされました。

監督:2013年から4年間ヘッドコーチをしました。僕は大東愛が強いので、まさか他校でコーチをするなんて思いもしませんでしたが、当時の中大関係者の熱に押されてやらせていただきました。でも、その全てが良い経験になりました。しかも初年度の開幕戦の相手がいきなり大東大。大好きな大東が敵になり、3.4年生は教え子ですから気持ち的には複雑で正直辛かったです。また大東ベンチにいる鏡さん、飯島さん、ラトウさんの威圧感が半端なく怖かったです、、、(苦笑)
中央大学でも選手に恵まれて「酒井さんのために大東には負けらんねーぞ!」なんて言ってくれて、ジュニア戦も含めて大東には4年間で1回しか負けませんでした。


―今年の大東大はいかがですか?

監督:僕が大学チームを指導するのは今回で3回目になりますが、過去2回も前年度が不調で2部落ちの危機状態での就任でした。でもどちらも翌年には全国大会に出場しました。今年の大東も去年入替戦まで行ったので同じような状況ですが、間違いなく上にいけると確信しております。

―その自信はなんですか?

監督:まず4年生がいいですね。経験上、これは大学ラグビーで勝つための条件だと思っているのですが、グラウンド内外のどんなことにも逃げずにチャレンジしようとする前向きなパワーがあります。結構無理難題を言ったり押し付けたりしていますが(苦笑)、文句も言わずによく食らいついてきていますね。

―スローガンが「×BA-TSU」と言う事ですが、その意味を教えて下さい。

監督:いきなりチームスローガンが「×」なのでネガティブなイメージですが(苦笑)、大東の「×」は極めて前向きです。去年入替戦と言う事は色々変えなきゃならない事があるはずなので、チームも個人もおかしいと思った事に「×」をつける勇気を持とうと。ダメだと気づいているのに、そのままにして指摘すらできないチームが勝てるわけがないですからね。実際に色んな事に「×」をつけて変えたりチャレンジしている事がたくさんあるので、今のところ浸透していると思います。スローガンは流行語大賞みたいなものですから、チームみんなが口に出したり、手でジェスチャーなんかし始めたら浸透しているのだと思います。ちなみに表記を「BA-TSU」にしたのは、尊敬する大好きなデザイナーのブランドをパクりました(笑)。

―ヘッドコーチに平岡正樹さん(23期)が就任されました。

監督:平岡さんは言わずと知れた大東大レジェンドの1人です。だって日本選手権の6万人の大舞台でHOが40mドロップゴールを決めちゃうんですから。あのプレーは大東に限らずラグビー界の伝説ですよ。あの発想力と決定力は現日本代表の堀江選手ですら難しいでしょう。ってか、狙わないでしょうね(笑)。
僕が監督に就任する際に1番最初に決めたのが平岡さんのヘッドコーチです。過去に平岡さんと同期のシナリ・ラトウさんと青木さんが監督をやられたので、平岡さんが大東に関わらないわけにはいかないですよ!本来ならば僕と立場が逆なのですがね・・・。
平岡さんは真っ直ぐな性格で、まさに「×」を地で行く人です。白黒ハッキリしすぎているのが良くも悪くもありますが、そこは僕がグレーを使ってうまくバランスをとれたら面白いチームになるのではないかとずっと思っておりました。今は飲食店を経営されている中で無理を言ってお願いしましたが、色々良い効果が出ています。また柴田FWコーチ、野口BKコーチ、その他のスタッフも、どんどん「×」をつけてチームを変えようとしてくれています。

―いきなり春シーズンは2つのタイトルを獲りました。

監督:タイトルと言ってもリーグ戦sevensコンソレーショントーナメント優勝と関東大学交流戦Cリーグ優勝ですから、周りからしたらどう思われるかわかりませんが、今の大東にとっては大きな事ですし、狙って優勝した事に価値があると思います。夏合宿もそうですが、こういう結果の繰り返しが秋のリーグ戦に繋がると思います。

―今年は大学創立100周年、ラグビー部創部60周年と節目の年です。

監督:そうなんですよね!僕も50歳ですし(笑)、これだけ節目が重なる年に監督に就任するのは、とても縁起が良く光栄であると共に、責任を感じております。実は以前にも何度か大東大スタッフに入閣する話がありましたが、実現せずに今回のタイミングになりました。でもこのタイミングで良かったと思っております。

―それはなぜですか?

監督:良い選手や良いスタッフとの出逢いと巡り合わせです。2011年に大東大でコーチをしてから12年間、いつ声がかかってもいいようにずっと大東大を見てきました。その都度、今年は誰が入部したのかな〜とか、自分ならばこうするな〜とか、常にシュミレーションしていましたし、誰にも頼まれていないのにいつお声がかかってもいいように勝手に準備をしていました(苦笑)。

―具体的に気になっていた選手は?

監督:やっぱり花園で準優勝した御所実業の稲葉(聖馬④)と西林(勇登④)が入ってきた時はワクワクしましたね。キレッキレの小田嶋(生吹④)や亮吾(佐藤④)の秋田中央コンビのプレーも見ていました。あと藤倉(大介④)や新屋(快④)というデカい奴らの面倒くさい噂話も色々聞いていたし(笑)、青森山田のリサラ(フィナウ③)とテリ(ヴァイレア③)が大東を選んでくれたのも嬉しかった。他にも大小いっぱい情報が入っていた選手たちと一緒に戦えるので、この巡り合わせに個人的にとても嬉しく興奮しております。

―酒井さんが監督になって色々変わったと聞きますが、何か意識していることはありますか?

監督:明るく厳しく強いチームを作りたですね。そのためには「チーム」だけではなく「学校」「保護者」「OB」「一高」「ファン」が六位一体となった『大東ファミリー』を構築し、みんなで戦いたいと思っております。「学校」「保護者」「OB」の方とはもっともっと連携をとっていきたいですし、付属の「一高」とは《高大連携7年計画》で花園出場をサポートしたいし、地域貢献活動や普及活動で「ファン」を増やしていきたいと考えております。

―それでは最後に今シーズンの目標と意気込みをお願いします。

監督:目標はリーグ戦優勝と全国大会ベスト4です。全国大会ベスト4という事はお正月越えと国立競技場です。やっぱり大東はここを目指さないと!僕らの時代もですが、お正月のNHK全国生中継で放送されたいですよ!先日陸上部の真名子監督ともお話しましたが、お正月は‘NHKでラグビー!’と‘日テレで箱根駅伝!’(笑)もう一度、お正月の“大東テレビジャック”を大学関係者やOB&OGに味わってほしいです。そのためにも、皆さまから愛されて応援される良いチームになるべきだと考えております。日々のグラウンド練習だけでなく、他の活動も積極的に行なって明るく厳しく強いチームを目指します!


酒井 宏之
1972年9月25日 東京都生まれ B型 大東一高→大東大→RICOH
第31回全国大学選手権優勝。日本A代表、U23、7・10人制日本代表、学生W杯出場他。
引退後はTBS「スポーツマンNo.1決定戦」などタレント活動をスタート。

ラグビーコーチ歴は大東大、中央大、マダガスカル女子7人制代表他。

現北区ラグビーフットボール協会理事長。

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